…似合うと言えば相当似合う気もするが 彼の人と生りを見れば知れば聞き及べば 似合うなどとは言えるべくも無い
…勿論 外面だけの付き合いではない俺としては 違和感を禁じ得ない事如何ともし難い…
…そしてまた今まさに 目の前で繰り広げられている この光景 何て麗しい 壮絶な違和感、だが…
…俺の恋人はなんて綺麗なんだろう、と 擽ったい様な誇らしげな気持ちも禁じ得ない
Let's paint a white rose red
ぱち と花鋏が小気味良い音を発て、繁雑な薔薇の枝を切り落としてゆく。
戦いを経て無骨さは有るものの、綺麗に切り揃えられた爪と色の白い指先で花の面は整えられゆき、その華やかさを増す。
MINTONのgobletを花器に仕立て、艶やかな朝露に彩られた紅薔薇が食卓の中央にあしらわれた。
その出来栄えに、満足げに微笑んでいる。そして、薔薇の花に向けられていた双眸が、俺に向けられ…
「おいマルス、飯まだか?…ってお前、手ぇ止まってんじゃねぇか!」
…口は悪いが それでも綺麗な俺のdolce 思わず見惚れ 手の中のbowlでは olive oilとlimoneが分かれ砕けて …
「……! ウルセェ、人に作らせておいて文句言ってんじゃねぇ!!」
「…まぁ、それもそうだな…でも早くしろよ」
ケビンは小さく笑い、おどけた様に肩を竦ませると、新聞を読み始めた。
『…薔薇、飾っても良いか?』
『ん?』
『薔薇。テーブルの上に』
『…まぁ、イイけどよ…』
… どうもこいつは花が好きだったらしい 出自の良さから考えると別に変でも無いのだが 鉄騎兵には些か不似合で…
… それでも 俺個人からすれば 何処まで行っても可愛いdolce なんだが…
食卓は毎日花で飾られ彩られる。季節の薔薇が、端境期には白薔薇が。いつもいつもケビンが飾るから。そして…
「だから何で食っちまうんだよ!もうすぐ飯出来るから待ってろよ!」
… ケビンは、薔薇の花びらを食う。枝を持って、まるでlollipopの様に。
… そりゃ、薫を以て良と為すrose jamとか有るが。こいつの母国の国花は薔薇だがそりゃ無いだろう。
「………お前だって、lemon皮ごと噛るクセに…」
「limoneそのまま噛るのの何がおかしいんだよ」
「…普通だと、思ってるのか…?」
ケビンは薔薇を一本食べ終わると、また新聞を読み始める…が、時折ちらりとkitchenの様子を見遣る。
マルスはそれに気付かない振りをして、料理に使ったlimoneの欠片を口に放り込んだ。
それからinsalata di mareにlimoneを合わせ、焼き上がったpizzetteと共に食卓に運ぶ。
「遅い」
「そう思ったら手伝え」
文句を言うケビンを小突きながら、マルスは手早く料理を並べる。
「…前に俺が手伝おうとしたら邪魔だって言ったくせに…」
にやり と笑いながら、ケビンはテーブルに料理を並べるのだけを手伝う。
「そりゃ、魚の鱗取るのに洗剤とデッキブラシを使おうとする程世間知らずだとは思わなかったからな」
マルスが思い出し笑いしながら言うと、ケビンは耳を塞ぐ素振りをし 聞こえない と、悪戯っぽく笑う。
愛してる
じゃ Ti amo ってのも聞こえないか?と言うと、ケビンは耳から手を放し それは聞こえた とまた笑った。
薔薇薫る食卓にitalianaは合わないが、ケビンはそんな事は気にしない気質らしい。
薔薇の花びらを千切ると、insalataに散らし、赤だの白だのpsychedelicに変貌したそれを満足気に口に運ぶ。
マルスはlimoneを噛りながらその様子を見遣り、limoneを飲み込むとケビンに問い掛けた。
「…ケビン、旨いか?」
「あぁ。やっぱマルスって料理巧いよな」
流石俺のdarlingだな、と事も無げに言い、vino rossoを呷る。
…イヤ、そういう事じゃ無くて…あぁ、俺のdolce…何で薔薇を足すんだ…?
いつも聞きたいが、聞けずに踏み止まっている…のだが…
「…insalataに薔薇、って…合う、の、か…?」
何と無くケビンと目を合わせず、しかし思わず口に出してしまう。ケビンは暫しgobletの薔薇と、insalataを交互に眺め…
「…イヤ、別に。でもsaladに混ぜるのは好きだ」
「…じゃぁ、何で薔薇食うんだ?」
「…"白い薔薇を 赤く塗ろう"って、知ってるか?」
「…"Alice's Adventures in Wonderland"…か…?」
ケビンが小さく頷く。その頬が僅かに紅に染まっている。
「何か、あれ読んでてさ、何故か俺は薔薇の花が旨そうだと…で、実行したら、別に旨くないのに、癖になって…」
「…そうか…」
…確かに、薔薇の薫りは食欲をそそる薫りでは有るが…sigarettaみたいなモンか…?
「それに…お前とkissする時、いつもlemonのイイ匂いするし…だから俺も、って…」
「……!」
…あぁ、確かにいつも … 薔薇の薫り、するよなぁ…
ケビンはそのまま俯いてしまった。白磁の様な肌が、紅薔薇も斯也という程赤くなっている。
…! じゃあ何だ、食う理由の半分は俺の為、ってか…? …ああもう可愛いなぁコイツは…!
マルスは、limoneの欠片を口に放り込み手早く咀嚼すると、ゆっくりとケビンに語り掛けた。
…愛しいハニー、側に寄ってくれ。キスしたいんだケド、イイか?
「…Sei cosi dolce,avvicinati.Vorrei baciarti,eh?」
「OK,darling…」
ゆっくりと互いの顔を近づけると、薔薇とlimoneの薫りが ふわり と漂う。
甘い薫りの中、目を合わせ、微かに微笑み合うと、二人は静かに唇を重ねた…
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このサイトは何処に向かいたいんでしょうか。てゆーか
マルス×ケビン…またバカップルか!!ってカンヂです←
自覚有りか!イタリア語科白の上を反転させると、一色の
アヤしい日本誤訳←一発変換(涙)…じゃなくて日本語訳
が出ます。無駄な事ばっかりしてる一色です←酷。
28/OCT/2004
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