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25.Dec.17:26 世間が赤や緑の装飾に囲まれ、華やかな雰囲気に彩られるこの季節。 浮かれ気味な外装は、クリスマスを楽しむ、或いは信仰を是とする習慣を持つ地球上の多くの国々を覆い、 信仰心は無くても何と無く心持ちが浮かれそうだ。 …しかし勿論 超人特別機動警察隊にそんな時節柄等は 基本的に一欠片も関係無い訳で。 とある星のとある街、寂れた場末の路地裏に転がる、四肢を八つ裂きにされた血塗れの死体が、 袋小路の壁を赤黒く染め上げているのを見… 『…そういえば、今日はクリスマスだなぁ』 と、口に出すには不謹慎に過ぎる思いを心に抱く。自分の深緑地の装備もそういえばそれっぽいと思ったり思わなかったり… …勿論、口には出さない。 嘲る様にちらつく細雪が態々不謹慎な思いを助長させてくれる。 アタルは口元に笑みさえ浮かべそうになるのを隠す様に口元に手を当てた。  眼前の死者に対し悼む念を持たないのは、この死者が… 「…アタル殿、彼奴めは民間人を盾に取って反攻を為そうとしおった。故に勢い殺めてしまったが…構わぬな?」 総身に返り血を浴び、それを拭おうともせずに、傍らに俯き気味に佇んでいたニンジャが 抑揚の無い昏い声を発する。  …つまりは この死者が超人特別機動警察隊が追っていた凶悪犯だからだ。 粒の大きく成りゆく雪、その下に佇む紅に血塗れるニンジャ、そして自分の深緑の装いを見遣ればますますクリスマス的だと… 勿論、口には出さない。こんな状態でも一応 恋人と共に過ごすクリスマスだなどと思うと滑稽過ぎて益々笑いが吹き出しそうだ。 当然ながらそれは堪えつつ… 「…あぁ、構わないさ」 アタルが応えると、ニンジャは血塗れの口元に舌先を這わせ 口の端を引き上げるだけの薄笑みを浮かべる。 そして軽く地を蹴り ふわり と身を浮かせた。そのまま一陣の風と共にニンジャの気配が消える。 アタルは未だ血腥さ消えぬ死体を一瞥すると それを収容するよう部下に指示し、踵を返した。 25.Dec.23:38 超人特別機動警察隊本部に戻り、事の顛末を確認する。寂れた場末の路地裏とは言え、目撃者が有った事から、 その言に拠り 容易に状況は汲めた。 凶悪犯が逃げ込んだ星には、規律規範やら、良常識といった概念が欠落していた様で、 お陰でニンジャの"凶行"もさほど住民に動揺は与えなかった様だ。或いは即にそれを読み取り… ニンジャもあの犯罪者を生かすという選択を排除し、効率重視で行動したのであろうか。 基本的には犯罪者は捕らえ投獄し、刑務所にて罪を償わせるのを旨とはするものの、 別段今回の事が問題になる程超人特別機動警察隊は暇では無い。 『SUSPECT DEAD』のファイルに調査書を挟み、アタルはシャワールームに向かった。 25.Dec.23:42 「あ」 シャワールームの入り口で、シャワーを浴びたばかりのニンジャとばったり出食わす。 雑把に羽織ったバスローブは胸元が大きく開き、紅潮する肌が露になっている。 一瞬それに目を奪われそうになるのを抑え、アタルはニンジャに声を掛けた。 「…戻ってから姿を見ないと思ったら、此処にいたのか」 「…あぁ、すまぬ。余りに気色悪かったのでな、先に湯を貰ってしまったぞ」 ニンジャは通りすがり様にそう言うと、振り返りもせずに食堂に向かう。 しっとりと水を吸った髪が煩いのか、結紐で肩口から髪を結い上げつつ歩いて行く。 その様子が何と無く可愛らしく見え、アタルは小さく笑い乍らニンジャの背を見送ると、シャワールームに入って行った。 26.Dec.00:03 シャワーを浴び終えてシャワールームから出ると、食堂がやけにざわついている。 と、いうか、暴動でも起きているのでは?という程に騒がしい。 尋常では考えられない超人特別機動警察隊の本部内の喧噪に、アタルは若干速足にて食堂に向かった。 段々と騒ぎが近しくなってくる。と、そこにニンジャの怒号が聞こえて来た。 「お、お前等ッ調子に乗りおってーーーーッ!!!」 続き、何かテーブルでも吹っ飛ばしたのかという一際派手な音がなる。アタルは思わず駆け足にて食堂に飛び込んだ。 そして、そこでアタルが見たものは… 「…何事だ?」 全身が潰れた苺やら生クリームやらで塗れている ニンジャを始めとする超人特別機動警察隊の面々だった。 ニンジャは振りかざしたケーキを降ろし、アタルの方を見遣る。 と、 どろり と生クリームが頬を伝い、ニンジャはそれを舌先で絡め舐め取り乍ら、応えた。 「……拙者は食堂に入った途端にケーキを打付けられたので応戦したまでだ」 バスローブを纏ったままのニンジャは、全身がクリーム塗れになっている。肌蹴た胸元や着崩れた腿辺りは地肌が見えない程だ。 「…どういう事か説明して貰おうか」 アタルは隊員達を見遣ると、隊員達はばつが悪そうに互いの顔を見遣る。そしてその内の一人が言う事には… 25.Dec.23:24 誰かが、折角クリスマスなのでケーキを食べようと思って買って来た。 が、クリスマス当日のケーキは安い事も有って、他にも複数名ケーキを買った者がいたそうで。 そんな訳でケーキが沢山集まってしまい、食い切れない分の処理について考えていた所、誰かが… 『…ケーキ投げって、してみたいんだけど…ホラ、あのテレビとかでやってるみたいなの』 『片付けるの、大変じゃないか?』 『そうだけど、今日隊長達お二方とも帰還遅いって言うし、こっそりやって片付ければ…』 『賛成、俺やる!』 『あ、じゃぁ俺も!』 …と、言う訳でケーキ投げをしていた所… 25.Dec.23:45 『…腹が減ったな…食堂に行けば、何ぞ食う物位有るか…』 髪を結い上げつつ、ゆっくりと歩いていると…食堂がやけにざわついている。 と、いうか、暴動でも起きているのでは?という程に騒がしい。 尋常では考えられない超人特別機動警察隊の本部内の喧噪に、ニンジャは若干速足にて食堂に向かった。 『何…ぐぁッ!』 そして食堂に飛び込んだ瞬間に、ニンジャの顔面にケーキがヒットする。 『………!…ニ、ニンジャ隊長…』 そして食堂の空気も凍りつく。 ニンジャは顔に付いたケーキに手を遣ると、 引き攣らせる様に口の端を上げて笑みを作り… そういえば悪魔騎士だったんだよなぁこの人…と皆がシンクロナイズして思う程の殺気を発する。 ニンジャは傍らに有ったケーキを数切れ引っ掴むと、隊員達の顔面目がけて投げ返し、全弾隊員達にクリーンヒットさせる… 26.Dec.00:08 事の顛末を聞き、アタルは小さく溜息を吐いた。 「…そう、か…まぁ、片付けさえきちんとするなら…しかし…」 そして、一人何だか被害が大きいニンジャを見遣る。その視線に気付き、ニンジャが隊員達を睨め付ける。 「…彼奴等、拙者を集中攻撃しおって…貴様らだけ動き易い隊服を着ているからと…調子に乗りおって…」 もう一度シャワーを浴びてくる、と言い、ニンジャは食堂を出て行った。 その背を見送りながら、アタルは隊員達に昏い声で問い掛ける。 「…お前ら…ニンジャがバスローブなんか着てあられも無い格好をしているから集中攻撃した訳では…無いよな…?」 「……い、いえ…そんな…滅相も無いです、ソルジャー隊長…」 そんな、とは言いつつも、集中攻撃したのは、あられも無い格好のニンジャをクリーム塗れにしたかったという思いが 無い訳では無かった隊員は即答できない。 「…取敢えず、"ケーキ投げは" 超人特別機動警察隊の内規的には問題無いが…    "ニンジャに手を出したら" お前らとて容赦はせんぞ」 言いながら、アタルも食堂を出て行く。隊員達は整列し、去って行くアタルの背を見送る。 そして、その姿が見えなくなってから、隊員の一人がぼそりと呟いた。 「…でも、クリーム塗れのニンジャ隊長、色っぽかったよな…」 その言葉に、他の隊員達も口々に応える。 「…うん、何だか眼福って感じだったな…」 「あんなに色気有るんじゃ、ソルジャー隊長がぞっこんな訳だよなぁ…」 26.Dec.00:11 「…何故、ついてくる…」 シャワールームの入り口で、ニンジャが立ち止まり、背後にいるアタルの顔を見据える。 「…『クリスマスケーキ』の御相伴に与かろうと思ってな」 アタルはニンジャの顎を捕らえると、口元だけ覆面を外し、ニンジャの唇の回りにべっとりと付いているクリームを舐め取った。 「…ふ…世俗の恋人共の様に『メリークリスマス』とでも言った方が良いのか?生憎それも昨日で終わりなのだがな」 ニンジャは微かに笑むと、クリームだらけの腕をアタルの首に回してくる。 アタルはニンジャの躯を抱えると、シャワールームの鍵を掛け、覆面を外す。 「一日遅れでも構わないだろう?」 26.Dec.05:41 『…今日は我々は休暇を取る…緊急時は…』 腕の中で眠るニンジャを起こさない様に、携帯端末から部下に指示を出す。 洗い髪はシャンプーの香料の薫りしかしないが、洗ったバスローブにはバニラ香料が染み付いたか、甘い薫りが部屋に漂う。 「…『メリークリスマス』か…今度は、当日に言いたいものだな…」 ふ と穏やかな笑みを浮かべると、アタルは未だ深い眠りに落ちているニンジャの髪を緩く撫でた… __________________________________________________ エロ無くても変態チックなのはどうしてでしょう。てか クリスマス更新って言うんですかねこういうの←何問い 掛け。てか此処まで書いたらエロ書いておけよってゆー ツッコミは無しの方向で願フッ(吐血) --------------------------------------------------

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