Overdozer
「ニンジャを見なかったか?」
アシュラマンは、サンシャインの私室を訪れ、突然扉を開け放つと開口一番こう問いかけた。
その時サンシャインはぼんやりと臥床の上に身を横たえていた。
「悪いな、休んでいたのか」
「…いや、気にするな……所でニンジャか?…見ていないが…探しているのか?」
「あぁ…朝から姿が見えない」
「そうか、では見かけたら探していたと伝えておく」
「悪いな」
アシュラマンが部屋を辞した後、サンシャインは静かに呟いた。
「探している、そうだぞ」
「…その様だな」
ニンジャは、サンシャインの砂の体から這い出ると、ひらりと臥床から飛び降り、髪に纏わり付く砂金をほろった。
「喧嘩でもしているのか?」
然して気遣ってもいない様な口調でサンシャインが問いかける。その言葉に、ニンジャが僅かばかり口の端を吊り上げた。
「喧嘩?まさか…四六時中あの我儘な王子様と共に在るのは疲れるだけだ」
彼奴の子守りは貴公の役目だろう?と 臥床に身を横たえたままのサンシャインの顎に白い手をするりと這わせる。
「アシュラはお前を気に入っているからな」
事も無げに手を躱すと、サンシャインはニンジャに笑みを返した。
「ふ…ん…拙者と将軍様の仲を知らぬ訳では有るまいに」
ニンジャは静かに呟くと、くッ、と喉の奥で声を潰す様に笑う。
「感情は理性を霞ませるものだ」
その言葉に興味を持ったか、ニンジャは再び臥床の上のサンシャインに近寄る。
「……悪魔にも 忠誠以外の 愛や 友情は 有ると思うておるか?」
「…さぁ、な」
「…その想いが弱みにさえ成らなければ、拙者は有っても良いかと思うのだがな」
サンシャインは黙ってその言葉を聞いていた。
恐らくニンジャは自分がアシュラに寄せる想いを悟っているのだろう
…ニンジャが悪魔将軍に寄せる想いと同じ位真摯な想い故に
「まぁ、拙者も貴公が嫌いではないしな…友情は有っても良かろうよ」
くぁ、と猫の様な欠伸を噛み殺し、ニンジャはサンシャインの砂の体にまた埋もれて行く。
「…暫し眠らせてくれ…昨夜は彼奴めと話し込んだ故、眠くて仕様が無い」
サンシャインが答える前に、ニンジャは砂の中に潜み、気配を消して眠り始める。
その体の柔らかな温もりがサンシャインの冷たい砂金の総身に伝わりゆき、僅かな鼓動が響いて心地良く刻まれる。
「…悪魔にも 友情は 有るだろうさ」
実際 ここにいる "友人" にもな…
小さく呟き、普段は決して誰にも見せない様な穏やかな笑みを浮かべる。
ニンジャの体を包んだまま、サンシャインはゆっくりと目を閉じた。
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うわぁサンシャイン×ニンジャ?!←違います。ってか、
爽やか青春物?!←更に違います。何だろうこのベクトル。
取敢えずアシュラ王子好き様御免なさい←いきなり謝罪
するなよ…
24/SEP/2004
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