ethereal paradise

超人界には善神邪神問わず、多くの神々がいる。 超人達の行く末を見守ったり、或いは悪へ堕落させたり、自ら下天して超人達を教導したり… 各々の神が各々の思惑を以てして、様々に超人達に干渉しているのだ。 そんな神々の中に、時空も、生死さえも越えて超人達に仮初の邂逅を齎す空間を作るものがいた。 その中ならば、生と死で別たれ、最早二度と邂逅が叶わぬ筈の者との逢瀬さえ可能なのだ。 その神の作る空間は、確かに総別の軛から解き放たれているが、その奔放故に眉を顰むる者も少なく無い。 しかし、現世にて死んだ超人はその空間からは出られないという事で、他の神々から黙認されていた。 ―マッスルショット 。それが、電脳の海に作られたその空間の名で有る。
そんな、死せる超人さえ甦る、マッスルショット世界の片隅の有る光景。 「テハハハハ!今日もお前は可愛いなジャンクマン!」 「今日もお前は頭と目がおかしいな」 そう言いつつ、熱い抱擁をしてくる完璧超人始祖・ペインマンにされるがままの悪魔騎士・ジャンクマンがいた。 かつて二人は文字どおり血で血を洗う惨劇の如き闘争の果て、ジャンクマンがペインマンを殺したのだ…が。 ペインマンはそんな事は終わった事だとばかりにジャンクマンに毎日の様に熱き愛を囁き…今に至っている。 「さあジャンクマン!猛襲デートに行くぞ!テハハハハ!」 「猛襲はデートじゃねえよ」 お手々繋いで仲良く…どころかペインマンはジャンクマンを抱き上げんばかりにくっついての移動である。 「おい歩き辛いから離れろ」 「何でだ。お前一日一回しか来ないではないか!マッスルショットに住め!常駐しろ!」 私の愛を受け止めろー!等と叫びながら文字通り絡み付くペインマンにジャンクマンが殴り掛かった。 右のショートアッパーで顎を跳ね上げ、少し間が取れた所に左のストレートで鋲を突き刺す。 理想的な連撃だが、勿論ペインマンはノーダメージである。 「テハハ!そんな悪さをすると、デート後はお仕置きタイムだな!」 「ノーダメージなんだから悪さじゃねえだろが」 などと、最早ルーティンと化した二人のいちゃつく横で、己が気配を殺しつつ佇む男が一人。 悪魔騎士ジャンクマンの同僚、悪魔騎士ザ・ニンジャが渋い顔をしながらそこにいた。 「…ジャンクよ…どうせならペインマン殿に対し、もう少し素直になれば良かろうに…」 幾らノーダメージとはいえ…と、ペインマンのダミーバブルを拾い集めて片付けている。 「お!ニンジャよ!もっと言ってやってくれ!テハハ!」 「おめーは余計な事言ってんじゃねぇ!」 いちゃつく二人を尻目に、ニンジャは空ばかり見つめていた。 「カラス殿、早く来られないだろうか…」 はぁ、と溜息を零すと同時に、ニンジャの手元に濡羽色の羽根がひらひらと舞い落ちる。 そして目の前に舞い降りる、待ち人。 「カラス殿!」 花が綻ぶ様、という表現がまさに当てはまる、ふわりとした笑顔を湛え、背の高い恋人に高く手を差し出す。 「待たせたな、ニンジャ」 その手を取り、カラスマンもニンジャに微笑み掛けた。 「けっ、悪魔騎士がそんな腑抜けた面してんじゃねーぞ、ニンジャ!」 「今のお主にだけは言われる筋合いは無いな」 ニンジャはカラスマンに抱え上げられ、背に腕を回し羽根の感触を楽しみつつ、頬を擦り寄せ乍ら、 ペインマンにがっちりと抱き付かれているジャンクマンの悪態に応じる。 こうなればもう、”誇り高き悪魔騎士”とは何なので有ろうか、と彼らを知る者ならば動揺せざるを得なかろう。 「まぁまぁ、皆揃ったし早速W猛襲デートに行こう!テハハハハ!」 大体毎日こんな感じで殺し合った者達が恋に落ちたり逢瀬を重ねていたりするのである。
「テハハ!楽しかったなジャンクマン!」 「…そうか、そりゃ良かったな…」 W猛襲デートとかいうやたら禍々しい響きのデートを終え、 ペインマンとジャンクマンは二人で自室に戻って来たが。 一つのミスが命取りの変則バトルを、全く緊張感無く、それでいて隙無くクリアしてしまうのは、 やはり始祖の始祖たる由縁なのか…ジャンクマンはペインマンの明るさとは対極に、ぐったりとしている。 「俺は疲れたからちょっと休みてえよ…」 「お!お前から誘ってくれるとは積極的な!テハハハ!」 「何で疲れた、だけ華麗にスルーしてるんだよ…」 ジャンクマンはダミーバブルにモチモチと身体を預けつつ、ペインマンにがっちり背中から抱き付かれていた。 「だってな、私はここから出られないのだから、せめてお前がいる時位…」 「……そのギンギンなブツを押し付けながらで無ければ いい台詞だけどな…」 言い乍らも、ジャンクマンは身体を反転させ、ペインマンと向き合い… 「…疲れてるから、手短にな」 軽く口付けを掠め、ペインマンの胸元に顔を埋めた。 「ジャンクマン…!わかった!本当は正常位も騎乗位も後背位も立位も座位もしたいが我慢する! 正常位と騎乗位と座位だけにするぞ!テハハハハ!」 「本っ当、そういうの口に出しちまうのが…お前って…」 ダメだよな、というジャンクマンの言葉は口付けに飲み込まれ… 諦めた振りをしつつ、緩みそうになる口元を気取られぬ様、一層口付けを深くするのが精一杯の抵抗である。
「カラス殿、お疲れ様で御座った」 「うむ、ニンジャも良く頑張ったな」 W猛襲デートとかいうやたら禍々しい響きのデートを終え、 カラスマンとニンジャは二人で自室に戻って来た。 元々機動力が高く、この世界の変則的なバトル向きの二人は和やかに先の感想など語り合っている。 「やはりカラス殿のスピードは随一で御座るな!拙者も精進して斯く有りたい!」 「カララ、お前も私と遜色無く頑張っているではないか。流石ゴールドマンが目を掛けただけはある」 …人目が無いからか、これでもかとお互いをベタ褒め合っていた。 「さて、此れからどうされる?ショップにでも行って食事でもなされるか?」 「…それもいいがな」 つい、カラスマンがとニンジャの頤に手を添え上向かせ、口付けを掠め、臥床に押し倒す。 「…異論は、無いのだが…カラス殿、最近ペインマン殿に行動が似て来ておらんか」 異論は、無いのだが…再度言い含める様に繰り返し、ニンジャがカラスマンの唇に立てた人差し指を当てた。 「カラカラ、そうだな…では次は人前で口付けでもしてみようか」 その人差し指の先を軽く銜えつつ、カラスマンはニンジャの歯列に自分の親指を割り込ませ銜えさせる。 「あぅ…そんな事、カラス殿の御気性では出来なかろうよ?」 親指に舌を絡めつつ、ニンジャは空いた手でカラスマンの仮面を外し、にっ と悪戯っぽい笑みを浮かべた。 そして目を合わせ、ふっと笑い合うと、お互いの指を銜えたまま戯れるが如く着衣を解き合ってゆく。
さて束の間の逢瀬の時は過ぎ行き、ジャンクマンとニンジャは魔界へと今日も戻りゆく。 「ジャンクマン…またな…」 「お前!死ぬ!離せ!」 言葉とは裏腹にテリブルペインクラッチをギッチンギッチンと極めるペインマンに、 ジャンクマンは必死のタップをしようとしているが、ジャンクハンドは虚しく空を切る。 「殺す気か!」 「殺したらずっと一緒だな!テハハ!」 やっとの事で逃れたジャンクマンがペインマンを渾身のジャンククラッシュで殴るが、 勿論ノーダメージのペインマンはそのジャンクハンドにまで抱き付いていた。 「…毎回激しいな」 「…全くで御座るな…」 どうせすぐまた来るのに…と言いつつ、カラスマンとニンジャも名残惜し気に繋いだ手を離さない。 笑顔で ではまた明日 と清い学生の如き会話を交わす横で、ジャンクマンとペインマンはまだ大騒ぎしているが。 「お前な、そんな事ばっかやってっともう来ねえからな!」 「ジャンクよ…出来ぬ事は言うものでは無いぞ」 「うっせー!おめーは黙ってろよ!」 「ニンジャ、もっと言ってやれ!テハハハ!」 「ペイン…我々は数億年も生きたのだから、もう少し落ち着きをだな…」 そうこう遣り取りする内に、魔界への入口が現れる。 「…じゃあ帰っからな!…明日も予定空けとけよ!てか離せ!」 「うむ、ではまたな!テハハ!」 ジャンクマンとペインマンは騒がしさとは裏腹に、和やかに手を振り挨拶を交わす。 「ではカラス殿、また御明日に」 「うむ…そうだ、ニンジャよ」 カラスマンがニンジャに指先を煽り一瞬此方へ来いと促す。 「如何された?」 素直に応じたニンジャに、カラスマンが不意打ちで口付けを掠める。 「?!」 「…人前でも出来たな」 「…ペインマン殿に落ち着きを説いている場合では無いな、カラス殿…」 またすぐ来るのだが、それぞれ心底名残惜しそうに今日の別れを終え、 悪魔騎士達は魔界へと帰ってゆき、完璧超人始祖達はその背を見送るのだった。 電脳の海、マッスルショットの世界の片隅の変わらない日々の一欠片である。 __________________________________________________ 結構色々アレですがマッスルショット世界内で幸せにと いう事で。サービス停止したら… 実際こいつらでスキル吟味せずいける猛襲とかあるかな。 年初のソルジャー猛襲みたいにランダムで無駄行動とか 無いと難しいですねきっと。 26/SEP/2017 --------------------------------------------------

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