shower of kisses

  広々とした部屋の中を、入口付近のポーチライトと窓の外から微かに揺らぐ街灯の光のみが照らす。 そのまま夜闇に沈み蕩けてゆきそうな、射干玉の髪を持つ恋人の項に歯を立て、呟く。 「…何か申し開きが有るなら聞こう」 「さあて、何の事やら?」 ――成程、私に追及されるのを承知でやったのか アタルはつい先程酒の席にて、仲間内では初心だと揶揄われつつ愛でられてきたブロッケンJr.が、 最近矢鱈と色気を帯びた仕種をするのだと言う話を聞き及んだ。 ――其れだけならば、彼もいよいよ恋人に染められ色気付いたのかと思うだけの話なのだが… 似ているのだ  自分の恋人の手練手管に しかも其れ迄は何事も知らぬ子どもが  唐突に思い付いたのだと言うにはあまりに無理が過ぎるその所作… ふと思い出したのは、自分の恋人との初めての情交の際、足下に跪いてきたその姿… 自分を椅子に座らせ、履いていた重いコンバットブーツの靴底に両手を沿えて艶やかな笑みを浮かべ捧げ持ち… 器用に靴紐を唇だけで銜え、靴を脱がせ、靴下の先を銜え脱がせ… 瞼を閉じ、露になった足の甲に恭しく口付けてきたあの姿… 爾来、幾度と無く躯を重ね、幾つもの夜を共に越えたが…今でも思い出すだけで総身に熱が籠る記憶である。 「…お前の手管は、子どもに教えるには少し刺激が強過ぎやしないか」 アタルの言葉に、ニンジャは ははっ と声を上げて笑い 「お主等がそう見たいのならそれを咎め立てはせんが…」 くるりと躯を反転させ、ニンジャはアタルの左手を取ると親指を口に含み、舌を節に絡み付ける。 「だが、あれ程迄に熱情と情欲に塗れた者を 子どもに括ってやるな」 指の一本一本に順に丁寧に舌を這わせ、小指に到ると かり と爪に歯を立てた。 「愛する者を 躯総てにて愛する術を知らぬのは哀れであろうよ?」 アタルの指を銜えたまま、ニンジャは右腕をアタルの首に回す。 そして左手人差し指を、知らず覆面の下険しく潜めていたアタルの眉間に当ててニヤリと笑う。 「……素直にブロッケンと何処迄したのか問われれば良かろうに」 嫉妬すら見せないとはつまらん男よ、と するりと身を引きホールドアップしてみせる。 アタルは がっ と その両手首を掴むと、ニンジャをベッドに押し倒し首筋に唇を押し当てた。 「…嫉妬で 狂いそうだよ…」 力の限りきつく握り込まれたニンジャの両手首は、既に赤く充血し、骨すら軋む。 びりびりと痺れが走り手首の感触が無くなってゆくのを、然し乍らうっとりとニンジャは楽しんでいた。 首筋にも所有の証であると言わんばかりに、強い吸い跡と歯形が刻まれてゆく。 「…は ぁ…」 うっとりとした声を零すニンジャの裾の袷の下で、触れられずとも緩く頚を擡げかけた欲望が燻る。 アタルはぐっと腰をニンジャの腰に寄せ、服の下で既に闌けり切った自身を圧し付けた。 「ん…う…」 未だ手首を解放されない中、ニンジャは膝を立て腰を浮かせてアタルに躯を擦り寄せる。 アタルは一瞬ニンジャの首筋から顔を離すと、彼の両手首をニンジャの頭の上で片手で纏めて拘束した。 幾らアタルの方が腕力に勝るとはいえ、片手ならば振りほどくのはニンジャとて容易だが、 ニンジャは特に抵抗もせず、薄笑みを浮かべ黙ってされるがままになっている。 そんなニンジャにアタルは口づけを落としつつ、ニンジャの寝間着の帯を解いた。 そしてその帯をニンジャの両手首に巻き付け縛り上げてしまう。 「…ふふ、此れでは拙者は何も御奉仕出来ぬな…?」 そういえば、ブロッケンはバッファにキスしかしてなかったと言っていたな…と ニンジャは瞑目し思い出し笑いをする。 抜けようと思えば簡単であろう拘束を易く受け入れ、くすくすと笑うニンジャに、 自分が圧倒的に主導権を持っている筈のアタルの心に ちり と焦燥が過る。 それを気取られぬ様にか、再びニンジャの躯に覆い被さると鎖骨に がり と歯を立てた。

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