blazing blood_2

暫し二人血塗れのまま、事後の気怠い躯と余韻を楽しんでいたが… 「で、俺様に頼みってのは何だよ」 どうせ碌でも無い事だろうな!とニヤリと笑い乍らジャンクハンドを畳んで四角い枠の様にし、 薄笑うニンジャの躯を捕らえるかの如く囲ってしまう。 「大した事ではない…午後の身体検査に、拙者として拙者の代わりに出て欲しい」 「はぁ?」 余りにも予想とは…とはいえ大層な予想をしていた訳ではないが…掛け離れたニンジャの提案。 余りの訳のわからなさにジャンクマンは力の抜けた声を上げてしまう。 「将軍様がな、拙者が軽いと仰るのよ…面倒よな」 …悪魔将軍は、悪魔騎士達にとって唯一無二の主で有り、戦いにおいての師でもある。 トレーニングは言うに及ばず、格闘に必要な基礎や体作りも各々の特性は有るが、将軍は微に入り細に入り指導するのだ。 そして、悪魔超人と雖も、超人レスラーとして同じレギュレーションで超人委員会主催の身体検査を受けねばならない。 「軽いから技に力が乗らんのだとよ…しかも今回軽ければやる気無しかと"御叱り"がな…」 確かにニンジャは手数重視で身軽では有るが、とどめを入れる時に武器に頼る傾向に有る。 本来体重が乗りやすいストンピングさえ手裏剣に頼る有様だ。 将軍の愛人が嫌がる御叱りってどんなんだよ、と微かに興味は有るが口には出さない。 「お前今体重何キロだ」 「ひゃ「嘘つくな」 ジャンクマンの鋭い突っ込みにニンジャが苦笑する。 「…90kg以上は有る、多分」 「今は無えかもな」 床まで血みどろになった部屋を見渡しジャンクマンは 俺の部屋らしくなったなぁ、と笑った。 それを見てニンジャも くす と小さく笑う。 「でも、俺とお前じゃ替え玉無理だろ」 「…大丈夫だ」 言い乍ら、ニンジャは自らの顔にギリギリと掌を押し付け、やがて離しその手を見て 良し と呟く。 「うわっ!」 そしてその掌をいきなりジャンクマンの顔面に バチィ!と叩き付けた。 「テメエ、何…な、何だよこれ!」 反射的にニンジャの手を払おうとしたジャンクマンのジャンクハンドが、無い。 代わりに五本指の、オーソドックスな男の手。 「なっ、なん、何が、どうなって…!」 両手を見つめ狼狽するジャンクマンに、ニンジャは血塗れた手鏡を渡す。 ジャンクマンが鏡を覗くと、そこには驚愕の色を有り有りと湛えた表情の"ザ・ニンジャ"がいた。 「忍法・顔写しの応用だ…術を緩く掛けているから色々不完全なところは有るが… お主は今"ザ・ニンジャ"という訳だ。これで頼む」 「はぁ…」 マジかよ…と言い乍らジャンクマンは全身をマジマジと見つめる。 何処をどう見ても自分の姿の要素は何も無かった。 「不完全、てのはどういう…」 「完璧に再現すると体重が一緒になってしまうからな…お主以外の他の奴らは逆に重過ぎてな」 血を拭い始めたニンジャがジャンクマンに自分の服を渡す。 「仕方ねえな…わかった。まぁ、釣りいるかなって程度には楽しんじまったしな…押し売りだけどな!」 「拙者も楽しんだから釣りは要らんさ…首尾良く頼む」 ニンジャは忍装束を着付けるのを手伝い、身支度の調ったジャンクマンに首巻きを巻く。 「口調でボロ出たりしてな!ニヒヒ!」 「なるべく笑わず、語尾に御座るとでも付けてそれっぽく振る舞うといいで"御座る"」 「わかったで"御座る"!…そういや気になったんだが、これ、いつまでこうなんだ?」 ジャンクマンの問に、ニンジャは顎に手を当て少し考える。 「…多分、夜位じゃないかと」 「何だよ多分て」 「拙者が顔写しを使う時は、解く時は任意だが…正直、人に試すのは今回が初でな」 ニンジャの頼り無げな言葉に、ジャンクマンの顔が青褪めた。 「おいおい、じゃあ暫くこのままかも知れないのかよ!」 「まぁ、その時はそれはそれで拙者で好きに遊んで良いぞ。"恋人"を抱き締めてみたりな!」 ふわりと跳躍し乍ら揶揄いの言葉を残し、血塗れた部屋からニンジャの気配が消え失せる。 「…だからあいつは恋人じゃ…!まぁ、仕方無えか…」 「部屋は片付けておいてやる」 気配は無いのに、ニンジャの声だけが響く。その声にジャンクマンは手を上げて答え…違和感に眉間に皺を寄せた。 そしてジャンクマンは如何にも面倒げに頭を掻きつつ、自室から検査会場に向かうのだった…

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